今回の記事は、外国株式・外国債券を購入しようとしている人向けの内容です。
証券会社の外貨預り金(買付余力)
いきなりですが、証券会社に預ける外貨の話をします。
当サイトでは、外国証券を購入する際は、円貨決済ではなく外貨決済をおすすめしています。詳しくは以下の記事をご覧ください。
そうなると、外貨を証券会社に入金することになります。また、外国株式で配当金が出たときや、外国債券で利金が発生したときは、外貨を受け取ることになります。
★重要★
この外貨は、証券口座に入れていても利息は付きません。一切増えません。←ポイント
銀行の普通預金にお金を預ければ、いくらかは利息が付きます。証券口座に円を入金すると、こちらも利息がつきます(厳密には、待機資金として自動的にMRFと言う商品を買っており、それによって増える。減ることはない)。
例を使って考えてみましょう!
ここで例を出してみたいと思います。
あなたは、アメリカの株を10,000ドル分保有しています。1年間におおよそ300ドルの配当金が配られます。
この300ドルをどうしますか?おそらく、以下の3種類のいずれかを考える人がほとんどではないでしょうか。
円に換える
今後、ドルを使って一生投資をしないのであれば、それでも構わないと思います。ほとんどの場合は、今後も外国証券に投資すると思います。そうなる、円に換えるのに手数料を払い、またドルを調達するときに手数料を払うことになるので、手数料がもったいないです。
次にドルを使って、他の銘柄を買うまで保有しておく
そうなると、保有するドル(今回の場合、300ドル)には利息が付きません。次の銘柄を買うまでに数か月や1年以上の時間が空くのであれば、その分の利息を手に入れられないことになります。
同じ銘柄(or他の銘柄)に再投資する
保有するドル(今回の場合、300ドル)を使って、再投資することは最も望ましいことです。しかし、300ドルだと最低買付金額に満たないこともあり、購入したい銘柄を買うことができない可能性があります。また、買えたとしても、売買手数料を踏まえ、ちょうど300ドルになることは稀であり、端数が必ず余ってしまうことになります。
外貨建MMFとは
ここで少し話を変えて、外貨建MMFと言う金融商品について記載します。
外貨建MMFとは、投資信託の一種です。投資する対象は、その国の短期国債などであり、ほとんどその通貨と価値は同じと考えられます。
外貨建MMFの定義については、SMBC日興証券の説明ページに詳しく書かれています。こちらもご確認ください。
SBI証券の外貨建MMFのページが以下です。
上の図は、2023/8/25の画像です。米ドル建ての外貨建MMFの利回りはおおよそ4.7%です。この日のアメリカの政策金利(Federal Funds Rate)が5.5%なので、政策金利より少し低い利回りを示しています。
外貨建MMFの米ドル建ての商品が4種類ありますが、そこは深く考えても意味がないので割愛します。
★ビタイチ的解説 超重要★
外貨建MMFがどういう金融商品かを説明すると話が長くなるので、以下のように理解することがポイントです。
- 投資信託と言うものの、ほぼその通貨と同じ価値。
- 外貨で購入すれば手数料はかからない。
米ドル 300ドルで、米ドル建て外貨建MMFを300ドル分を購入できる。
米ドル建て外貨建MMFを300ドル分を売却すると、米ドル300ドルを受け取れる。 - 外貨建MMFを保有していると、その時の政策金利より少し低い利回りの分配金を受け取ることができる。
(厳密には、自動的に再投資される)
おまけ←詳しい人向けの内容
外貨建MMFの分配金(再投資される)は、利子所得として20.315%(国税15.315%、地方税5%)が取られるが、株などの譲渡損と損益通算可能。
例の内容の正解について
先ほどの例で記載した300ドルの配当金をどう使うかですが、正解は「外貨建MMFを購入する。他の銘柄を購入するために外貨が必要になるタイミングで、外貨建MMFを売却して外貨に換える。」です。
こうすることで、保有期間の利息を外貨建MMFの分配金として受け取ることができます。外貨→外貨建MMF、外貨建MMF→外貨の売買で手数料はかかりません。
今回は外国株式の配当金で説明をしましたが、「保有している外国株式を売却」「外国債券の償還」など外国証券の取引全般で言える内容です。
証券会社ごとの外貨建MMF取り扱い一覧
以下は、各証券会社で取引できる外貨建MMFについてです。(2023/8/25時点)
証券会社 | 外貨建MMF |
SBI証券 | 米ドル、南アフリカランド、トルコリラ |
楽天証券 | 米ドル、南アフリカランド、トルコリラ |
マネックス証券 | 米ドル、南アフリカランド、トルコリラ |
auカブコム証券 | 米ドル、南アフリカランド、トルコリラ |
大和証券 | 米ドル |
松井証券 | 米ドル |
SMBC日興証券 | 米ドル |
みずほ証券 | 米ドル |
野村證券 | 米ドル、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル |
ネット証券系は、「米ドル、南アフリカランド、トルコリラ」の取り扱いがあります。野村證券だけは「米ドル、英ポンド、豪ドル、NZドル、カナダドル」の取り扱いがあります。
どれくらい違うのか
外貨で得た配当金を外貨建MMFで保有するのと、そのまま外貨で保有するので、どれくらい差が生まれるかを検証してみましょう。
<前提>
・10,000ドルの外国株式(コカ・コーラ)を運用
・外国株式の配当は、年3.0%(2023/8/30基準)
・米ドル建て外貨建MMFの利回りは4.7%(2023/8/30基準)
・運用期間は5年間。1年目の1月1日に外国株式を購入し、5年目の12月31日で評価
・配当金の支払いは6月1日
・税金は考慮しない
・株価・配当利回り・外貨建MMFの利回りは一定
分類 | 5年間後の利益 | 最終利回り(年) |
配当金を外貨預かり保有 | 1,500ドル | 3.0% |
配当金を外貨建MMF投資 | 1,686ドル | 3.37% |
比較結果を見ると、配当金を外貨建MMFに投資した場合、約0.37%多いということになります。これを多いと考えると少ないかと捉えるかは個人差があると思いますが、私は大きいと感じました。少しでも利回りを良くしたいのであれば、外貨建MMFに投資すべきと思います。
まとめ
今回の記事では、外国株式・外国債券の購入時に外貨建MMFをセットで考えるべきと言う話をしました。ちょっと難しい話になりますが、証券会社の機能として「配当金が配られた際、自動で外貨建MMFを買い付ける」と言うものが存在します。なので、証券会社から見ても、外貨預かりではなく、外貨建MMFで保有する方が良いと言うことになります。外国証券に投資する場合は、是非参考にしてみてください。
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