外国株式を購入する人に向けての記事です。外国株式の銘柄を選ぶ際に気を付ける点を紹介します。
(結論)確定申告をするかどうか
いきなり、確定申告の話になりますが、以下が一番重要です。
あなたは、確定申告をしますか?もしくはする予定がありますか?
この質問によって、選ぶべき銘柄が決まってきます。結論を先に書くと以下になります。
確定申告 | 対象銘柄 |
する | 全てOK |
しない | 配当がない銘柄(無配当) |
★超重要 追加内容★
この記事を書いた後に、以下の記事を作成したところ、確定申告をしても二重課税の税金を全額取り戻すのは難しいということがわかりました(人によって異なりますが、おおむね全額は難しい)。なので、そもそも配当金がない銘柄を選ぶことを推奨します。
選ぶべきと書いたのは、投資効率がよい(無駄なく)という意味です。買おうと思えば、全ての銘柄を購入可能です。
配当があるかないかの調べ方
まずは自分が買おうかなと思っている銘柄の情報を見てみましょう。SBI証券では銘柄情報を見ることで配当の有無を確認できます。
コカ・コーラの場合は、配当があります。
アルファベット(Google)の場合は、配当はありません。
利益と二重課税について
外国株式投資をして得られる利益と税金について見ていきましょう。
配当なしの株の場合(例:アルファベット(Google))
上記の場合は、2,000ドルの利益が出ているので、この2,000ドル(※)に対して、譲渡益税がかかります。譲渡益税は、日本株だろうが、外国株だろうが関係ありません。一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。
※厳密には、($12,000×130円)- ($10,000×130円)=260,000円が利益です。
配当ありの株の場合(例:コカ・コーラ)
上記の場合は、売却時に1,000ドルの利益が出ているので、この1,000ドル(※)に対して、譲渡益税がかかります。譲渡益税は、日本株だろうが、外国株だろうが関係ありません。一律20.315%(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。ここは、先ほどと同じです。
※厳密には、($12,000×130円)- ($10,000×130円)=260,000円が利益です。
それ以外に、保有期間に500ドルの配当が出ています。この500ドルに対して、所得税がかかります。
★ここからが重要★
外国株式の配当金は、まず外国で10%の税金が引かれます。その後、日本で20.315%(所得税15.315%、住民税5%)がかかります。
以下は、500ドルの配当に対する詳細です。3行の内容が全て税金として取られてしまいます。
分類 | 基準金額 | 税率 | 税金額 |
外国での課税 | 配当500ドル | 10% | 50ドル |
日本での課税(所得税) | 外国での課税を差し引いた450ドル | 15.315% | 68.9ドル |
日本での課税(住民税) | 外国での課税を差し引いた450ドル | 5% | 22.5ドル |
上記の配当金の所得税の計算は、確定申告をしないパターン(源泉分離)です。通常はこのパターンです。確定申告をすることで、別の計算方法となります。今回の記事では詳細は割愛します。
二重課税と外国税額控除
先ほど記載した「配当金は外国で10%の税金がかかる」を二重課税と呼びます。要するに、「海外でも税金を払って、日本でも税金を払う。つまり二重で税金を払う。」です。
外国で取られた10%の税金は、確定申告をすることで、全額(もしくは一部)を取り戻すことができます。どれくらい取り戻せるかなどの詳細は別記事にて紹介します。
二重課税はどれほど重いのか
ここからは二重課税がどれほど重いかを見ていきます。
税率
外国で税を払い、さらに国内でも税を払った場合(つまり、二重課税)、28.2835%もの税金を取られることになります。そもそもの国内の税である20.315%でも結構取られている印象があるのに、その約1.4倍もの税金が取られます。これは大きいですね。
分類 | 税率 |
外国での税+国内の税(二重課税) | 28.2835% |
国内の税 | 20.315% |
配当金と配当率
2023年7月時点では、Appleの配当率は約5%です。Appleの株に130万円投資した前提でちょっと計算してみました。(わかりやすいように全て円で記載しています。)
投資額 | 配当率 | 配当金(税引き前) | 税率 | 税額 | 配当金(税引き後) |
130万円 | 5% | 65,000円 | 20.315% | 13,204円 | 51,796円 |
130万円 | 5% | 65,000円 | 28.2835% | 18,384円 | 46,616円 |
二重課税されるか、国内のみで課税されるかで、配当金(税引き後)は約5,000円の差がありました。5,000円は大きいですよね。
投資額 | 配当率 | 配当金(税引き前) | 税率 | 税額 | 配当金(税引き後) |
130万円 | 5% | 65,000円 | 28.2835% | 18,384円 | 46,616円 |
130万円 | 4.5% | 58500円 | 20.315% | 11,884円 | 46,616円 |
ちょっと計算してみたところ
「二重課税で配当を5%もらう」=「国内課税のみで配当を4.5%もらう」
になりました。
配当率5%の株を買ったのに、二重で課税すると配当率4.5%の株を買ったのと同じ投資効果と言うことですね。うーん、イマイチです。
言いたかったこと
外国株式への投資って為替レートを考えたりと、通常の国内株よりも少し難しいですよね。せっかく頑張って外国株式へ投資したのに、多く税金を払うというのは残念な話です。
確定申告をしないのであれば、多く税金を支払わないために無配当株を選ぶことをお勧めします。確定申告をするのであれば、どんな銘柄を選んでも問題ありません。
★このサイトの考え方★ ←興味がある人は読んでください。
得られる利益に対して税金を多く支払ってしまうと言うことは、言い換えると投資効率を悪くしていると考えます。投資の世界では、数%という小さな数字を細かく見ていくことが重要です。「めんどくさいから。よくわからないから。」と二重課税を見逃してしまうと、(より良い利回りを狙って外国株式に投資するのであれば)何のために外国株式に投資をしたのかわかりませんよね。だったら、国内株でいいじゃんとなってしまいそうです。
余談になりますが、外国株式を初めて買う人の中でAppleの株を買う人は結構います。2023年7月時点では、世界の株の中で時価総額が最も大きいのはAppleです。iPhoneユーザにとっては、外国株式への投資を始めるにはAppleは取っ付きやすいと思います。
しかし、Apple株は配当有の株です。外国株式を始めたばかりの人は二重課税の知識がない人が多く、多く税金を取られていることがしばしばあります。
★重要★
NISA口座で外国株式を買う予定の人は以下の記事をご確認ください。
まとめ
今回は、二重課税について説明しました。これから外国株式への投資を始めようと考えている人は、「どの銘柄を買おうかな。」と考えると思いますので、是非参考にしていただければと思います。
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